坂本龍一シリーズ❸ アルバム asyncレポート3
いつも読んで頂きありがとうございます。
今回はasync特集❸最終回です。
それでは前回に引き続き収録曲をレポートします。
8. full moon
バーチャルサントラのイメージ。ブロックチェーンやメタバースを先取りしたのだろうか?
バックで鳴っているピアノのコードは教授ならではの存在感。
非同期でコラージュされた音の素材、イメージ的には複数のモニターが設置され、音楽として集結させた感じだろうか?ある意味コンピューティングに聴くのもいいのではないでしょうか。
初めのSEのような音はシンセなのか、ある物体を触れて鳴らしているのかは不明。あえて言うとシンセではないのではないか?楽器を使わなくても音楽が成立するという提示かもしれない。
9. async
同期しないというタイトル通り、同期しない魅力を提示しています。音響彫刻とでも言うべき作品。非同期ながら工場の音に聞こえたり、YMO BGMの来るべきものを思い起こす感じもあります。非同期といえば、アートリンゼイのノイズギターを聴きたかった。
10. tri
async同様非同期の楽曲。アンビエントな楽曲。そんな印象を受けます。響きそのものが音楽という教授からの問いかけのように感じます。チルアウトの感じを受けますが、最後にシーケンスっぽいフレイズになる。一筋縄でいかない曲です。
11. Life.Life
SE ノイズ ボイス ピアノが合わさり、素晴らしい響きとなっています。ブレンドされたトータルのコード感は美しい。残響までも音楽として成立しています。一見映画のサントラのようですが、奥深いアレンジをよく聴くと圧倒される音像になっています。
ピアノがさりげなく入っていますが、かなり聞き応えありです。
12. honji
日本的ですが、伝統的な楽器をレコーディングしても、教授の曲と分かります。
イントロのSEやノイズからすでに素晴らしい。教授はワクワクしながこの曲を作ったのではないかと思わせる。あっという間に曲が終わる、退屈さがなく、ずっと流しておきたいです。
13. ff
アルバムのエンディング前奏。全体的にはアンビエント色が強い。メロラインもない状況かと思いきや何回も真剣聞いてみると、しっかり展開がある。単なる持続音の作品では決してありません。正直10回聞いても初めはわかりませんでしたが、同期していない音はアドリブではなくしっかり同期せず調和しています。
14. garden
アルバムのエンディングの後奏。(テクノデリックみたいですが)題名からすると、ジャケットのイメージなのでしょうか?シンセの音で構成されていますが、ノイズも数多く入ってます。トータルでミックスされた音はまさに教授にとって音楽。しっかり高音から低音まで考え抜かれている感じがします。
以上でレポートは終わりですが、何回も聞いていくと新しい発見がある名作です。
3回に渡り読んでいただきましてありがとうございました。